What’s
マカロニック tasty
今もなお新型コロナウィルスに人々の心が揺れる中、表現を続けるためにさまざまな方が各々の方法を模索されており、私たちも現状にあったカタチで、お喋りを我慢するのではなく、お喋りをしない事でより楽しめる、そして心が楽になる、そんな企画ができないかと考えました。
Mails Davis、Bill Evans、John Coltrane.....
美しい、tastyな音楽に触れたとき、私たちは言葉を失います。
Christian Boltanski、三岸節子、Mario Giacomelii.....
美しい、深い深い作品に触れたとき、私たちは息を呑みます。
別役実、与謝野晶子、岡真史.....
美しい、味わい深い言葉に触れたとき、何度も何度も口の中で繰り返し味わいます。
自分をまどわす余分な考えは剥がれ落ち、どこまでも、どこまでも美しさに沈み込んでしまうのです。
言葉にることを忘れただただその美しれに身を委ね、溶けてゆく、、、そんな時間を共有できたなら、、、
《場》が与えてくれる感受性
情報技術の発達のお陰で、私たちは沢山の情報を手に入れたり発信でき可能性も刻々と広がっていますが、その一方で生きる上で大切な感覚が鈍くなったり、自分自身の体の声に疎くなっていないか。情報が溢れているがために体の声よりも情報を追ってしまってないか。そのせいで知らず知らず息が詰まってないだろうか、、、心配になる時があります。
美術館で作品を目の前にした時、作品から出る息遣いや空間、他の作品との関係、そこにたどり着くまでの道のり(順路や美術館までの行程)など沢山のもの感じとり吸収しています。お芝居や音楽LIVEでも、その演目だけでなく隣にいる人の緊張や高揚を共有していることも感じ取っているのだと、いわゆる空気をも含めて楽しんでいます。私たちは目だけで見ているのではなく、耳だけで聴いているのではなく、舌だけで味わっているのではなく、皮膚も含めて沢山の器官が気づかない程に微細なレベルまで沢山のものを吸収し感じ取ってるのだと思います。
一つの事への関心が長く続くといつの間にか中身を置いて形式が先走ったり固執してしまう事があります、、、芸術に触れることや心を落ち着かせること、感受性のささやきに耳を傾けることは深く考えることを助けてくれます。そういった場や機会を残したり新しく繋げてゆく為に自分にできることを自分たちなりに考えました。
『マカロニックtasty 』では、『味わう』ことをテーマに、音楽の美しさに身を委ねてどこまでも酔える空間や、微細な囁きに耳を澄ませてゆっくりと心の声に耳を傾けられる空間を目指し、jazzや空間芸術などの企画を行って行きます。美しく味わい深い空間を通して誰かの心や体そして明日を豊に出来たなら私たちはとても幸せです。
移りゆく《今》の中で
今、世界を大きく揺るがせている新型コロナウィルス。人との接触を控えたりマスクをするなど飛沫感染の予防が有効とされているため、オンラインによる活動は感染を拡大させないための素敵な方法だと思います。でも、空気感や様々な感覚がうける微細なささやきは、、、、?オンラインは時間や場所を選ばずに映像や音を届けてくれ、普段出会うことのなかった多くの情報や可能性を与えてくれますが、オンラインでは得ることのできないものが失ってはならないものが〈場〉もはあります。どちらが良いという事ではなくこれからも生きていく上でどちらも欠かせないものだと思います。
苦しむ人を一人でも作らないために、救える命も救えない状況をうまないために、大切な場所を守るために、豊かな心身を守るために、、、これらはシーソーの様な対極の問題では無いですが、みんなが幸せになる方法を探す時問題にぶつかります。少しでも両立できる方法を探して、会場に人は呼びますが、可能な限り飛沫が飛び交うこと押さえ、会話をしないことで深く味わうことのできる企画ならば良い方向に向かうのではと思い、お酒も盛り上がることだけが楽しみ方ではなく、じっくりと味わう楽しみかただってあると思い、このような企画を立ち上げました。
言う程大それたことは出来ていませんが、それでも少しでも幸せになれる方法を、世界が生きやすくなる方法を私たちなりに考えました。刻々と状況が移り変わる生き物の営みの中で最善では無いかもしれません。それでも状況に応じて良い方法を探し続けようと思います。遠い遠い昔のご先祖様たちは常に変わる状況に適応する方法を模索して今の私たちにつないでくれました。私たちも脈々と受け継がれ行く大きな流れの中で今に適応する方法を探し繋げてゆくのが生き物を生き物たらしめることの一つなのでしょう。
美しい空間で、美しい音楽を、tastyな時間を。
ご自身の心と体そして感受性とのおしゃべりをお楽しみ下さい。
2021.5.11 田中佑佳 KAILA